小宝島

小宝島

宝島からすぐ隣の小宝島に向けて出港しました。
2時間程度の予定なのですぐに着くだろうと思いきや、エンジントラブル。
名瀬-宝島間でも白煙を上げていたエンジンがついにオーバーヒートで止まりました。

この日は風もないため帆をあげても梶が効かず、ひたすら潮に流されるばかり。
漂流状態に陥りました。

漂流しながらエンジンを調べる花田船長。

この船内機は直接冷却式のため、冷却用の海水が配管の細い部分に潮詰まりを起こして循環が滞っていました。

なんとか修理して小宝島の南にあるフェリー港に入港しましたが、うねりが入っており停泊が難しいため、北東の避難港に回り込みました。

岩場をくりぬいた天然の要害で、隆起サンゴ礁の大地に囲まれた素晴らしい造形の場所です。

早速海の調査です。
サンゴが繁茂し、魚も多く、ウミヘビもいました。

小宝島の北東部の海 – Spherical Image – RICOH THETA


ヤコウガイも見つけました。ヤコウガイには漁業権が設定してあるので、とって良いのは写真だけです。

上陸して、陸上調査です。
まずは小宝島で塩づくりをしている小林さんにお話を伺いました。

小宝島の製塩所 – Spherical Image – RICOH THETA

平家の落武者が逃れてきたという大岩屋には、昔使われた木造の艀(はしけ)船が保存してあります。

小宝島の大岩屋に保存されている艀船 – Spherical Image – RICOH THETA

陸地には隆起サンゴ礁の奇岩が連なり、

小宝島の隆起サンゴ礁の奇岩 – Spherical Image – RICOH THETA

アダンの茂みにはトカラハブが潜み、

ハイビスカスやカラフルな花が咲き連なり、

そんな中でウシたちがのんびり草を食んでいます。

ここでも、畜産(子牛の育成)は島の重要な収入源です。

森の木漏れ日。

島には水源が乏しいですが、温泉があります。

石灰岩が地熱で温められて、周囲の気温以上に暑く感じました。
一方で、石灰岩は水を通さないため、こんなに小さな島にも田んぼがあったようです。

平家の落ち武者についてですが、私は本当に源氏の追っ手を逃れるために平家がトカラ列島まで逃れてきたとは到底思えません。
黒潮の潮流に逆らって進むにはそれなりの準備と技術が必要で、着の身着のままで逃げながらできることではないからです。実際にヨットで航海してみるとよくわかります。平家には水軍の技術はありましたが、壇ノ浦では潮を読み違えて負けているので、いきなりトカラ列島へ黒潮に逆らって出航できるとは思えません。
更に、源氏も危険を冒してまで落ち武者狩りにトカラまでは来ないでしょう。
思うに、平家の人たちは、逃亡生活を続ける中で逆に旅が楽しくなってしまい、島伝いに行けるところまで行ってみようという冒険心や開拓心に駆られてここまできてしまったのではないでしょうか。元々は日本を支配しようという大きな野望を持った人々です。
ただ逃げるだけなら、トカラまで来なくても隠れられる山里などがいくらでもあるはずです。
平家の落ち武者生活も、都落ちして自然と格闘して意外と楽しかったのではないかと思われるのです。楽しくなければここまで来ない、ここはそのくらい遠い絶海の孤島です。