ブラジル視察(1) Brasilia
- 2024.09.15
- 視察旅行
当法人が連携する京都大学「社会的共通資本と未来」寄付研究部門のスタディーツアーの一環として、2024年9月上旬にブラジルにおいて舩橋が講演・視察を行いました。旅先で見た光景をいくつか紹介します。
ブラジルの首都であるBrasiliaは標高1100mほどの乾燥した高地にあり、1950−60年代に計画的に作られた人工都市であり、Oscar Niemeyer の建築にあふれています。
元々はイタリアの聖人ドン・ボスコが1883年に見た夢を元に、それまで海に近いリオデジャネイロにあった首都を、外敵の脅威の少ない内地に遷都するために選定されたそうです。
都市部の周囲には巨大な人造湖があります。これは、人間活動がこの地に無ければ存在しなかったという意味で、乾燥地における水系の拡張生態系と言えるでしょう。
テレビ塔75mの高さから見下ろした市街の中心地。車道が優雅な曲線を描いて循環しています。
中心部には国会議事堂、官庁舎、教会や博物館が計画的に配置されています。どれもOscar Niemeyerの作品で、独特な流麗さのある未来感に溢れています。
Brasiliaから距離的には遠いのですが、アマゾンの違法放火によって空気は濁っており、大陸特有の環境問題や原住民との関係は政府にとって大きな課題でもあり、関連する展示も行われていました。
青い空と、その光を透過した赤いステンドグラスの対比が印象的な「自由と民主主義のパンテオン」。
Brasilia建設を強力に推進したJuscelino Kubitschek(ジュセリーノ・クビチェク)大統領記念館。同じ作家の赤いステンドグラスで照らされた棺は、老若男女が近寄ることができ、元大統領の一視同仁な人柄を偲ばせます。
Brasiliaへ遷都する実存的なきっかけとなった夢を見た、ドン・ボスコの亡骸(右腕だけ)の眠る教会。外観のシンプルな美しさもさることながら、中に入ると自然採光によって全面の碧いステンドグラスが清冽な輝きを放っています。
今回のハイライトは、Brasilia大学における学術シンポジウムでした。社会的共通資本とプラネタリーヘルスをテーマに開催し、舩橋は自然-社会共通資本について講演しました。
シンポジウムのポスターはこちら
このシンポジウムのアーカイブ映像は、Brasilia大学のYoutubeから視聴することができます。
Brasiliaの街は、道路までも優美に設計されています。歩道や横断歩道などは少なく車がないと不便ではあるのですが、流線美のためか思ったより圧迫感を感じません。
オスカーニーマイヤー曰く、「私が心惹かれるのは直角や柔軟性に欠く直線ではない。ただ自由で官能的な曲線だ。私はそれを故郷の山々や川の流れ、海の波、そして愛する女性の身体に見出す。」
後日 São Paolo で見つけた彼の絵は、まさにランドスケープと女性の身体が一体になった様相が描かれていました。
Brasilia の中央広場に生えている植生はやはり乾燥地のもので、大型動物に対抗できるような硬い棘を持ったものや、大量のポリネーターを引き寄せているカラフルな花が目立ちました。
食事といえばやはりchurrasco(シュハスコ)。picanha(ピカーニャ)という部位がとても美味しいです。
椰子の木の新芽palmito(パルミート)の素焼きが、タケノコのようで香りがよく美味です。
アマゾンのスープ、Tacacá(タカカ)。見た目は味噌汁ですが、エビの出汁とスパイスがきいており、タイ料理に近い感じです。
本格的なアサイーは椰子の木の皮を剥いたものなので甘くなく、かなりビターです。他の魚やスイーツと一緒にいただきます。
Brasilia郊外には、日系人が営んでいる苺狩り農園がありました。
3種類の苺をEM発酵液だけで栽培しており、無農薬で力強い苺が育っていました。
面白いことに畑の外側に草と混ざって放置されている苺もあり、こちらはサイズは小さいですがSynecocultureに近いクリアな味がしました。
こちらがEM発酵液のタンク。種となる微生物資材を入れて、サトウキビの糖で発酵させているようです。
元々アルカリ性の土地でイチゴには不適だと言われたらしいのですが、多少の出来不出来はあっても大きな虫害などもなくしっかりした苺が育っていました。
日系人として、6歳の頃からブラジルで生き抜いてきたFukushiさん。日本にあるという苺狩りに憧れて数年前にこの農園でも苺栽培を始めたそうです。そのご家族の歴史や波乱万丈の人生をとても明るく聞かせていただきました。今は自分の精神性(espiritualidade)を高めることで、苺栽培のレベルを高めることを信条にされているとのことでした。
他にも様々な光景や温かい人々に出会いました。ブラジルは聞くのと行くのでは大違い、実際に行ってみないと分からないことが多々あると感じられた素晴らしい旅でした。
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