諏訪之瀬島(4)
- 2018.07.24
- 研究航海
植生と地質の調査のために、諏訪之瀬島の活火山、御岳に登りました。
登山口から森の中へ入ります。
竹藪とシダの原を抜けると、晴れていれば島の南側の眺望が望めます。
また、噴煙次第ではトカラ列島の10島全てが見えるそうです。
諏訪之瀬島、御岳の中腹より – Spherical Image – RICOH THETA
足元には可憐に花を咲かせるマルバサツキ。
溶岩の間に溜まったわずかな火山灰の上に、植物はたくましく根付いています。
一次遷移によって、植物が自ら土壌を形成する初期過程が見て取れます。
野生のヤギの群れがいました。厳しい環境の植生にとって、動物は一次遷移を進める上で必要なサイクルの一部でもあります。
(砂漠地帯での放牧による生態系回復には、このようなわずかな植生と家畜の土壌形成サイクルが生かされています。)
火口に近づくにつれ、様々な組成・由来の岩石や火山弾が観察できます。
旧火口の様子です。
諏訪之瀬島の御岳、旧火口 – Spherical Image – RICOH THETA
そこから更に登ると、今尚活動中の新火口があります。
諏訪之瀬島の御岳の火口 – Spherical Image – RICOH THETA
青っぽい噴煙は二酸化硫黄を含んでいるようです。
火口の底ではザーザーと滝が流れるような轟音が響いていますが、一度鉢の外に出ると静寂が広がります。
植生ひとつない新火口のそばには、硫黄の匂いに惹かれたのか、弱った昆虫が何匹かいました。
新火口の縁は滑りやすく、火山弾が落ちて跳ね返った跡が幾つも付いていました。
最後に、御岳を登山するにあたっての注意です。
御岳は今尚活発に活動を続ける活火山です。
今回は調査のために地元の方々と相談の上、三日間コンディションが良くなるのを待ってから登っています。
御岳に登る際は必ず地元の方々に相談し、きちんと計画を立てて登山届けを出すようにしましょう。
特に、上に登るほど噴煙の影響と霧が濃くなります。下山時はガレ地で滑るので、特に注意しましょう。