プロダクトスポンサー紹介: ソニーセイリングクラブ
- 2018.06.18
- 研究航海
研究航海に向けて、ソニーセイリングクラブさまよりヨットのトレーニングの技術提供を受けました。
ソニーセイリングクラブが伝統的に活動してきた神奈川県葉山の森戸海岸。
外洋のうねりが半島状の磯で遮られて非常に穏やかな海です。
ディンギーのテーザー艇で出航
息を合わせてタック、ジャイブ、ウィスカーを使ったランニング。
航海調査で使うのはクルーザーですが、セイルの仕組みは同じなので、ディンギーではより繊細に、効率的に操船方法を学べます。
途中で気分が悪くなった人を収容するレスキュー艇も完備。
子供からシニアまで安全にヨットを楽しめる環境が整っています。
途中で風が無くなったので海中調査。様々な根魚、ボラ、イシダイ、コバルトスズメダイなどがいました。
観天望気では、富士山の頂の雲を見るとのこと。
雲を被っていれば午後の風は上がらず、晴れていれば吹いてくる傾向があるようです。
今日は雲で隠れていて、割合穏やかな風でした。
古民家な雰囲気のクラブハウスでは、ロープワークのおさらい。
ソニーセイリングクラブとは、今後も技術提供や研究協力を通じて連携していただけることになりました。
トレーニングを支援してくださった部員の皆様、ありがとうございました。
ーーー SUS評価 ーーー
SUSとは、Survivability(サバイバル性)-Utility(利便性)-Sustainability(持続可能性)の略です。
それぞれの項目について、実地の活用を踏まえて以下の4段階で船橋が独自に評価します。
◎:十分な配慮がなされている
○:配慮がなされている
△:配慮が不十分
×:配慮なし
サバイバル性:△
今回はレース艇であり、サバイバルを目的としていないセッティングでした。ディンギー自体も、スピードを出すために不安定に作られており、レースに的を絞ったスポーツと言えるでしょう。
一方で、ロープワークはサバイバルに役立つノウハウを含んでいます。また、荒れた海でレース用の船を乗りこなすスキルは、間接的にサバイバルに必要な運動能力や体力を向上させることが期待できます。
利便性:△
モーターつきの船に比べれば、機動性や運搬能力が限られているヨットは、そこまで便利とは言えません。風や潮に流されてしまうこともあります。むしろ難しい風を乗りこなしたり風や波を感じる気持ち良さといった楽しみの要素が大きくなります。
セッティングも細かい部品やロープの扱いに習熟することが必要です。
持続可能性:◎
ヨットや帆船は有史以来人類が移動や輸送に用いてきた原始的な手段であり、風を動力とするため地球上に水と空気の循環が存在する限り持続可能でしょう。
今回の船はFRP製でしたが、今後石油資源を消費しない材料の開発や、金属製部品を回収し再利用する取り組みが必要になるでしょう。
また、ヨットの推進力はヨット自体の速度が生み出す進行風により上がるため、摩擦を小さくすればするほど同じ風でも最高速度が上がっていきます。
現在最も速いヨットは時速100km以上で航行可能であり、超低摩擦素材の開発に成功すれば、資源が枯渇した後でも海上の高速移動手段としてリバイバルされるかもしれません。
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