シネコカルチャー研究航海 プロダクトスポンサー募集のお知らせ

シネコカルチャー研究航海 プロダクトスポンサー募集のお知らせ

21世紀も早1/6が過ぎ、急変する地球環境と社会情勢リスクの報道が目につくようになってきました。人口増加問題、温暖化問題、そして生物多様性の喪失問題などを乗り越えて持続可能な社会と生態系を実現するには、今後数十年が正念場であると言われています。

ソニーコンピュータサイエンス研究所(SonyCSL)のSynecocultureプロジェクトでは、次世代に人類が存続するための食糧生産をはじめとする持続可能な社会基盤に関わる研究と、情報通信技術を用いた支援システムの開発を行っています。
2018年はSonyCSLが設立30周年を迎える節目にあたり、これまでの研究成果の社会還元と普及活動のために、本社団法人シネコカルチャーを設立する運びとなりました。本社団法人の活動の一環として、また今後2050年を越えるまでの持続可能性にとって意味のあるチャレンジとして、2018年6月より西日本沿岸の研究航海を予定しています。

この調査では、ヨット一隻に必要な機材を積み込み、実際に現地の生態系を活用したサバイバル活動を通じて、SonyCSLで開発中の「超多様性マネージメントシステム」の実証試験を行うとともに、生存に必要となる社会—生態系情報の観測と分析を行います。
この調査は、一般的な学術調査ではデータ化されていない日本各地の一次産業と自然環境の実態を内部から調査するとともに、それらをいかに持続的に活用するかについて経験的な理解と知識を得ることを目的としています。このような経験知は、国際的な枠組みでは「先住民族と地域コミュニティの伝統的知識(IPLCsTK)」と呼ばれており、生物多様性条約・名古屋議定書が定めた「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)」の実装を考える上で本質的な役割を担っていると見做されていますが、実質的な調査や望ましい形での情報共有が進んでいない状況です。実際に持続可能性を達成するには、分野の限られた学術的研究だけでは不十分で、多様なステークホルダーを巻き込んだ現実の社会—生態系における実地探索的な活動が重要になります。

また、巷に流布する持続可能性を謳った技術の多くが、企業活動を通じて活力ある社会や経済に貢献するものではあっても、長期的な資源枯渇や人口増加を見据えて真に持続可能な文明を実現する技術にはなっていないことも事実です。再生不可能な資源が枯渇した時、現在のエコ製品の一体いくつが生き残るのでしょうか?現代の社会経済的な制約から切り離して、サバイバル調査という普遍的な自然と相対する実証実験の舞台を用意することで、生存レベルで真にサステイナビリティーに必要な技術とは何かをあぶり出す検証の場としたいと考えています。例えて言えば、自動車産業がF−1という極限的なレーシング環境で技術を磨いてきたように、サステイナビリティーについても、生存レベルにまで余剰を削ぎ落とした舞台での技術開発と実証が必要であると考え、現地資源の活用を前提とする航海調査を企画しました。

従って、この航海調査は持続可能性に興味を持つすべてのステークホルダーに開かれたものである必要があります。もし、人類の長期の持続可能性にとって本質的な技術であり、本調査に活用できると考えられる商品・サービスをお持ちでしたら、是非ともプロダクトスポンサーとして航海調査に協賛していただきたくご案内申し上げます。

*プロダクトスポンサーの条件
・航海調査において必要な以下の分野で、人類の長期的な持続可能性に本質的に寄与する可能性のある商品・サービスをお持ちの法人団体さま。

1. アウトドア・生活用品
2. 狩猟採集の道具
3. 生態系センシングに関わる機器
4. エネルギー・電子機器
5. 食糧
6. その他 健康管理・危機管理などのノウハウ

・上記各分野の商品・サービスを提供していただき、航海中の使用状況を逐次公開します。

*プロダクトを提供することで得られるメリット
・航海調査中にプロダクトを使用した際の状況を、本ブログ(日本語・英語で発信)などで商品名とともに報告
・各寄港地で、協賛企業のロゴが入った横断幕で記念撮影を行い、本ブログ上に投稿
・本航海調査にプロダクトを提供したことを、事実ベースで各種媒体に掲載する権利

注) 提供いただいたプロダクトの使用報告は、調査時の使用状況だけでなく長期的なサステイナビリティーと照らし合わせて多角的な評価を行います。必ずしもプロダクトの長所だけを報告することが目的ではないことをご了承ください。

*調査の概要
以下のデータを順次実地観測します。
・航海中の行程の全球画像の撮影、ストリートビュー形式のVRプラットフォームの作成
・寄港地周辺の陸地・沿岸生態系の生物多様性調査、水質調査
・寄港地周辺の生態系に関わる伝統的な知識のインタビュー、産業活動の記録
・寄港地周辺の生態系に関わる社会法律制度の記録
・必要な局面でプロダクトスポンサーより提供いただいたプロダクトの試験、使用報告
・クルーの心身の状況の記録
・上記のデータを用いて人工知能の解析により得られる知見

クルーについて
SonyCSLリサーチャー・社団法人シネコカルチャー代表理事の 舩橋真俊 を始め、サバイバル技術や生態系観測に長けた専門的技能を持つクルー3−4名で実施予定です。

調査の予定日程・航路は以下の通りです。

2018年6月中旬-7月 第一レグ 沖縄—南西諸島—熊本県天草
2018年9月-10月中旬 第二レグ 熊本県天草—瀬戸内海—和歌山

航路(寄港予定地を表示)

注) 航海調査は事前に現地の漁業権や動植物採集の可否を調べ、法律に抵触しない範囲で行います。