若松-野母崎
- 2019.06.23
- 研究航海
五島を出発する日が来ました。
テント泊組はすっかり若松の朝の日常に溶け込んでいます。
若松の植林は生育が良くなく小規模のまま廃れ、今では麓の港までシカが出てきます。
地元の方の「シカに寄生しているダニが大量にいるからキャンプはやめたほうが良い」という忠告をありがたく聞きつつも、日常生活がすでにそれ以上に豊富な虫に囲まれた二人のキャンプ組にはダニなど痛くも痒くもなく、むしろ他に人も来なくて快適な野営となりました。
私が今回多用したのはCROCSのシューズです。短距離移動の時は素足で、長距離の時は靴下を1枚履いて微生物叢の活動と上手く付き合いながら快適に過ごしてきました。
難点はやはりプラスチックごみとなることです。
この九日間の間で、虫に食われたのは主に露出している足首の部分でした。海水で洗えば気にならなくなりますが、この部分がうっ血していてそこに虫がたかるようです。
昨日収穫したヤマモモで、女性クルーが人生初のジャム作りに挑戦。
新鮮で美味な朝食になりました。
食遊館の料理長、藤永さんが出港前に氷を差し入れてくれました。
いくら魚が獲れても、保存方法がなければフードロスも多く、天候が悪化した時などに自給食材が枯渇してしまいます。
我らが調査船バーゴ・ウィナー船内の様子。
キャビン内で動き回れるのは3人が限度です。
若松港を出発します。
女性クルーは別の目的地へ向かうためここで船を降ります。
フェリーターミナル売店の山本さんがいつまでも力強く手を振ってくれました。
風は強めですが、島の奥まった湾は海面が静かです。
陸と海の中では活躍を見せるものの、海の上に出ると独特の瞑想状態に入り全くワッチになっていないクルー。
逆潮ですが、追い風のクオーターリーで前のジブセイルだけ膨らませて走ります。
島の間で風が回るので、裏風が入ってしまった時にセイルを縮めてリーウォード(セイルの裏で風を受けて進むウィンドサーフィンにおける技法)に変換。
フリースタイルヨットを標榜するバーゴならではの光景です。
外洋に出ると、風波で大きなうねりが生じていました。
島の間から出るまで2時間、野母崎まで6時間、時折大波の海水を被りながら東北東へひた進みます。(画像をクリックして動画再生可能)
82際の船長は荒れる海の上で格闘している時が一番生き生きしてきます。
通常のヨットでは陸で整備しておくべきことを、海上の荒波の中でやってしまうのもこの船の特徴。
風が強く、メインセイルはツーポンリーフまで。
ヒールするとこのように立っているように見えるぐらい船が傾きます。
途中、60cmサイズのシイラが手竿のトローリングにかかりました。
うねりのせいか、野母崎付近ではホンダワラが大量に引き剥がされtれ浮遊しています。
一日中海水を被り続けて陽に当たったので、眉毛や髪には塩の結晶がたくさんできていました。
行きに停泊した野母崎へ再び入港。
シバーしたロープが当たって破れてしまった風防の窓が、8時間の格闘を物語っています。
釣りをした軍艦島の見える磯の様子。白波が立っています。
そしてこの強風のおかげで、行きにこの磯で無くしてしまったクルーのデジカメ(TG5)が、浜に打ち上げられていて回収することができました。
奈良尾で獲れたアイゴをみりん干しにしたもので乾杯。数日間陽に当たって臭さと旨味が絶妙です。
第一レグでは40日で体重が5−6kg減ったのですが、第二レグでは10日間で逆に2.2kg増えました。
クルーの食材獲得技術の高さと豊富さに加えて、現地の人々からの差し入れも多く、人手も6人と多いので動かなくても済むためでしょう。
また、暑さがそこまで厳しくないのも体力の消耗を防いでくれていると思います。