紀勢・銚子川 水循環研修

紀勢・銚子川 水循環研修

伊勢農園での研修の翌日は、紀勢の銚子川ツアーに同行し、水循環を体感する研修を行いました。

車で銚子川を遡り、原生林に囲まれて豊かな水が吹き出す川の中流へやってきました。

最近では「奇跡の清流」としてNHKでも取り上げられている銚子川。

苔むした林からそっと覗くと、激しい水流にえぐられた川床の巨大な岩の間に、青いプールが光る水を湛えています。

皆が水遊びするのを高台から見守る野人・大塚さん。

水面から離れた高い場所は、アブが来にくいところでもあります。

川に沿って巨岩が立ち並び、滑らかに削られた曲面が天然の滑り台を形成しています。



川の中は透明度が高く、大小様々なハゼやアユなどの魚が急な流れにも俊敏に反応しながら群泳していました。

手のひらほどのサイズのあるテナガエビ。とてもすばしこく、素手で捕まえるのは至難の技です。

今回同行した水源探索の名人から、枯れた水源を復活させる貴重な経験知をお聞きすることができました。
川ができるほどのスケールのある谷でも、近年は伐採などの影響で水源が枯れてしまっている場所が多いそうです。
そんな場所では、水循環形成にとって「ツボ」に相当するような場所に小さな穴を掘って水を少し貯めておくと、数ヶ月するとその流域の地表流が広く繋がり、サイフォンの原理のようにその小さな穴が起点となって流域の水循環が駆動し、枯れない水源と川が復活することがあるそうです。
これは、生態系のレジームシフトが水源の形成や消失過程にも存在していることを示唆し、人間が水源を自然の水循環に則りそれを増強するような管理を行うことで、ゲリラ豪雨や旱魃などの異常気象に対しても水域の緩衝機能を高めうることを示唆しています。