若松
- 2019.06.22
- 研究航海
奈良尾を去る日が来ました。
ちょうど月夜間が終わり、今朝は巻き網漁船団の出航日です。
島の人たちと一緒に先ずは船団を見送ります。(画像をクリックして動画再生可能)
昨夜のうちに十数隻の漁船が奈良尾港に集結していました。
15人のインドネシア人の漁業研修生が乗っているそうです。
次の満月まで、1ヶ月間家族と離れて対馬の海で巻き網漁を実施します。
巻き網漁の原理がフェリーターミナル二階に展示されていました。
大漁旗を掲げ殿を務めるのは、4月に進水したばかりの西日本最大の漁船。
今回出航していく船団を見て、漁業の発展・衰退と質について考えさせられました。
遠洋の巻き網漁は漁獲量においては各地の集落が行なっている小規模漁業とは比べ物にならないぐらい効率が良いでしょう。
一方で、その性質上1匹1匹をきちんと血抜き処理することは不可能で、食材の質を高く保つ活け絞めや神経絞めは不可能なことは明らかで、まとめて冷凍するだけの雑な漁法でもあります。
今日から奈良尾を去り、若松へ向かいます。
フェリーターミナルの二階売店から我々の生活を見守ってくれたおばちゃんから、手作りの美味しいジャムをいただきました。
出航する時もいつまでも手を振ってくれました。
天気は晴朗、海も穏やかで、島伝いに奈良尾から若松まで回り込みます。
連日の漁・採集・調査で、ワッチ中に居眠りするクルーも。
疲労の蓄積は怪我やトラブルにつながるため、体調を把握することは重要です。
沖を浮遊して走るジェットフォイル船。ほとんど波が無いため、ヨットが煽られることがありません。
今回使用しているトローリングは弓角という仕掛け。鈍った針を頻繁に研ぎ直します。
大物用の釣り竿でトローリングすると、普通では分からない細かい当たりも感じられ、海の中の想像感覚が広がります。
上五島の浅瀬は美しいエメラルドグリーンが広がります。
奈良尾の初日に通過した若松大橋。海から見ると道路のためにかなり横の山を切り崩しているのがわかります。
若松大橋を今度は船で下から通過。
上五島では、時々放置された廃船や廃車を見かけます。
奈良尾から二時間半ほどで若松港に到着。
着岸地点からすぐの街路樹では、ヤマモモの実が完熟鈴なりでした。
それぞれのテーマで調査を始めるクルー達。
隣の観光クルーズ船の社長にツアービジネスの詳細を教えてもらう女性クルー。
私は突いてきた夕食の魚をさばきます。
今回使用してみた包丁。
どんなナイフも、ナイフ自体の質というより研ぐことが重要です。
フェリーターミナルの売店の方が、電源を貸してくれました。
更に、インゲンやお菓子などの差し入れまでいただきました。
15時に売店が閉まると、若松内の喫茶スナック「ポイント」に連れて行ってくれました。
町内の方々が昼からビールを飲んでいます。
居合わせた方が、昔東京の豊洲の地下鉄を掘った土砂を、羽田空港の埋め立てに使うために船で運搬した話を聞かせてくれました。
船に戻ると、食堂の料理人がイサキの差し入れをさばいている最中でした。
お礼に、協生農法のお茶を差し上げました。
3ヶ月前から若松の食遊館で料理長をしている藤永さん。根っからの職人気質で、魚と島の人々について話が弾みました。
夕食は大量の刺身から。釣り上げたケンサキイカ、クロ(メジナ)、差し入れのイサキ。
さらに別のクルーが村民からいただいてきたイカゲソのバター炒めのニンニク漬け。
へダイはヤマモモ果汁の隠し味をつけ素揚げにして、
サルサソースのトルティーヤ。
食べきれませんでしたがホンアナゴの煮付け。
若松は星空が綺麗です。光害が少ないためでしょう。
食後は夜の港でイカ釣りです。
大きなアオリイカが釣れました。
私も大物をかけましたが、底の岩の間に潜られてしまい、深夜の激闘の末逃しました。
五島は釣った魚も逃した魚も大きいようです。
船の中はだんだんごった返してきました。
トイレは研究用に採取した苗類に占拠されています。
-
前の記事
頭ヶ島・立串・津和崎 2019.06.20
-
次の記事
青木浦 2019.06.22