桜自然塾にて研修 (2)
- 2019.06.02
- 活動報告
2日目の朝は、伊勢神宮外宮の側にある月夜宮の参拝から始まりました。
参拝よりも巨木に群がって喜ぶ面々。
2日目は伊勢市の宮川河口にある生態系の観察と活用の研修です。
巨大な中洲は農地として分割されていますが、多くが耕作放棄されて藪や木に覆われ、地主が多いため再統合も進まず放置されています。
草刈機で開かれた道をずんずん奥に入っていくと、
そこかしこに赤から黒く熟したクワの実が鈴なりです。
木によって味が異なり、美味しい実のなるクワの木を見つけては手や高枝バサミで採取します。
クワの木には他の生き物も住み着いています。
様々なクモや甲虫類の他に、白い糸のように見えるクワキジラミや、泡状の卵や、
枝に擬態したクワコの幼虫など。
クワの実で果実エネルギーをたらふくチャージした後は、河口から海岸へ。
牡蠣の養殖の原理、河口で大きな牡蠣を手軽に採取する方法についてのお野人さんのレクチャー。
河口の様々な生き物の生態や活用法の解説。
河口から上流まで遡上してきて上海蟹より綺麗な水に住むモクズガニや、
打ち上げられたワカメを手に海藻の仕組みや判定法について。
付近一帯には満潮時にエイが餌を探して掘った穴でボコボコでした。
協生農法の生産性の基本を成す、生態系の上陸進化についても話が及びました。
アナアオサは、まだ陸上に表土や恒常的な河川がなかったころの、河口付近からの上陸進化の先駆者の面影を持つ種です。
オカヒジキは潮にも耐えられる締まった体を持ち、塩味が濃くて美味な海岸の総菜。
より発達した維管束を持つハマボウフウは、カリフラワーのような白い花を咲かせ、香草や漢方薬としても使われます。
イネ科のチガヤは穂を舐めるとほのかに甘く、昔は子供のおやつがわりだったという逸話を実体験。
ゴーリキマリンビレッジに戻ってからも、果実散策は続きます。
マリンビレッジの盛り土をした農園も徐々に植生遷移が進み、果樹も実をつけるものが多くなってきました。
栽培品種のビワも、無施肥で定着すると非常にクリアな味に変わります。これは市販の肥料で育ったビワにはない味です。
ムー農園のユスラウメはほとんど実が生っていませんでしたが、マリンビレッジでは大量に結実していました。手作業ではいくら食べても食べきれないぐらいの数があります。
5月に結実するカジイチゴも、最後のいくつかを採取して味わうことができました。
昼食はイノシシ肉や数多の協生産物の入ったタイ風トムヤムスープ。ご飯と一緒に何杯も食べられる美味しさです。
流しの下には、ボラの子供の「おぼこ」が群れていました。その可愛さが「おぼこい」の語源になったそうです。
飛び込みの高級食材はスッポン。4−5人前はあろうかという大きな天然スッポンを、元鳥羽国際ホテルの和食の料理長が見事にさばいてくれました。
絶品スッポンスープは、心身ともに高揚する強壮レシピとして、今後野生産物の活用レパートリーの一環として活躍してくれるでしょう。
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