新潟商工中金会三条部会 例会にて講演

新潟商工中金会三条部会 例会にて講演

当法人の講師・太田耕作が11月12日に新潟県の三条市において開催された「新潟商工中金会 三条部会 例会」で協生農法について講演しました。昨年、協生農法の原型創案者の大塚さんが講演された会です。

前回の三条市においての講演と同じく、農業と環境に関する世界的な背景から協生農法の理論、実践の事例、今後の展望などについてお話させていただきました。

会場からは、害虫などの問題で近隣の人から苦情が来たり迷惑がられたりしないのか、またむー塩(海水をそのまま煮詰めて乾燥させた塩)はどれだけ摂っても問題ないのか、等のご質問をいただきました。

現状、協生農法の実践によるそうした(生態学的な)問題は特に起きておりません。高度に拡張された生態系は、単一種の異常な大発生という現象を起きづらくさせます。ただし近隣が慣行農地の場合は、(実際に協生農法の土地が慣行農地に害を与えているかどうかは別として)心理的な抵抗感を与えてしまう可能性があります。社会的・心理的な問題はまた別で考えていかねばなりません。

むー塩については、先日出版された論文(Human augmentation of ecosystems: objectives for food production and science by 2045、日本語訳はこちら)に基づいて申し上げますと、生命を育んできた海水そのままの成分バランス(これもある意味ESSと表現できるでしょう)を有していることから、精製された塩(in cultura)と比べて異質であるであろうことが推察されます。少なくとも、精製された塩に比して、論文中の図2(a3)で表現されるような様々なリスクファクターを減らすことができる効果(水面の上昇)が期待できるであろうということは言えます。当然、だからと言ってあまりに大量に摂取することは人間のESSを逸脱させることになるでしょうし、オススメできません。

 

講演後の懇親会でもこの三条部会の方々にご挨拶させていただき、たくさんの応援のお言葉・お気持ちを頂戴しました。

その後、前回新潟へ伺ったときにもお世話になったガーデンカフェ鬼ヶ島というところでさらに懇親会を開催していただきました。宿泊もこちらでさせていただきました。

翌日は、無肥料で梨の栽培を実践されている田沢弘和さんに実際の農園を見せていただきました。

上の写真がそこに隣接する慣行の梨園の写真、下が田沢さんの梨園の写真です。肥料を与えないこと、草を刈らないことが、下に生えている雑草の様子をこれだけ違うものにしています。慣行の状態から無肥料栽培に転換していく中で起きた出来事、それについての考えなどを聞かせていただきました。今後、協生農法的視点で果樹の下に有用なハーブや野菜を導入していくことについて議論させていただきました。

田沢さんの農園を出た後、現地で協生農法を実践されている十日町市の大出恭子さんが管理する農園を訪れ、松之山の方では果樹を8本定植しました。これで定植した果樹は100本を超えたそうです。日本一の豪雪地帯での協生農法実践で、これから初めての冬を迎えます。若くて小さい果樹たちが無事しっかりこの冬を越して欲しいものです。

写真は果樹の周りに播いた種が発芽、成長している様子です。

その後も、前回も訪れたもう一つの協生農法実践予定地、周辺生態系を視察し、2日目の日程を終えました。

今回講演にお呼びくださった新潟商工中金会三条部会のみなさま、長谷川さん、田沢さん、大出さん、鬼ヶ島のみなさまや十日町市・シェアハウスにてお世話になりましたみなさまに感謝申し上げます。