伊勢・協生農園及び周囲生態系調査
- 2020.12.01
- 活動報告
連日秋晴れで天気がよく、夜遅くまで作業をしても清々しい朝です。
前記事の茶園の管理に引き続いて、伊勢にある茅原以外の協生農園と周囲生態系の有用植物調査を行いました。
ゴーリキマリンビレッジには秋の収穫が揃い始めています。
日本古来の甘味の定番、干し柿。
木から自然落下してから熟成するという、収穫管理しやすい特性を持つフェイジョアの果実。
この他にも、昨日仕入れてきた無施肥・無農薬の放任みかんがどっさりとありました。酸味と甘味のバランスが素晴らしく、桜自然塾から販売しています(例年売り切れ必至なのでお早めに!)。
ゴーリキマリンビレッジの近辺には、面白い造形の実をつけたフウセントウワタ。
今日は土壌と植生調査のために、協生農園(ムー農園ほか)に向かいます。
秋晴れの中、自衛隊の航空ショーでヘリの編隊が繰り返し飛行していました。
日射しは暖かいのですが、協生農園(ムー農園)は北風が吹きすさび、前日の南向きの谷間にある茅原農園と打って変わって凍えるような環境でした。
寒風にも負けず、今年はレモンやポンカン、キンカンなどの柑橘類が豊作です。
ムー農園からはフェンスの蔓性植物や大型果樹を大量に掘り出して移植したため、野菜の風よけがなくなった状態になっています。
野菜が発芽して混生している場所でも、成長できず地を這うように北風に耐えています。
植えられたレタスの苗も小さいまま経過しています。
前日の茅原農園の混生密生の野菜マルチとは大きな違いです。
通常の農業では、このような状態は生産性の低下として忌避されますが、協生農法の場合は現状の環境下での生態最適(植物の自発的な成長や相互作用によって形成される生態系の状態)として、生態系や植物の質としては健全な状態の一つと評価しています。
生産性を高めたければ、風除けや防風林を作るなど、生態最適においてバイオマスが増えるような環境条件の工夫を行います。耕起や施肥など土壌構造に介入することは行いません。
最初が砂質だったため有機物がまだ少ない土壌状況でしたが、他の協生農園に比べるとキクイモやシマラッキョウなどがよく育っています。吹き曝しでも他の土壌環境などの条件によって無施肥で比較的よく育つものもあるのが、多様な作物を導入する上で面白いところです。
まだ小さい果樹に絡まって育ったガガイモが、美しい羽毛を広げ種子を飛ばしているところでした。
吹き曝しですが地面に伏せると暖かく、地温と日差しの温もりを両方感じることができます。
地温は土中の微生物たちの活動によっても大きく支えられています。
裸足になったり、時には寝っ転がってみることで、そこで育つ植物や虫たちの感覚をしばし味わうことができます。
隣にある慣行のネギ畑の様子。とても綺麗に整列して同じ大きさに育っています。
農園の調査後は、大塚さんに連れられて、木の実狩りに出かけました。
今年はここ数年ぶりのシャシャンボの大豊作で、和製ブルーベリーとも呼ばれる大きくジューシーな実を堪能しました。
シャシャンボを食べると、視界がすっきりと明晰に開ける感覚があります。
展望台から眺めた遠くの洋上の風紋も、そこに流れている風の層が見えるように、生き生きと感じられます。
付近の海浜植生の代表格、トベラの実。ネバネバした粘液を発して昆虫や鳥にくっついて運ばれるらしいのですが、毒があり要注意です。
こちらは非常にレアな野生のムベの果実。完熟しており、硬く厚い皮の中に秘められた高雅な甘さは、果糖の概念を変えるような衝撃的な味わいです。
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