FAQ

はじめに

当法人は協生農法に関する科学的研究結果の報告・社会への還元が主な業務です。具体的な農法指導に関しては 協生農法実践マニュアル を参照いただくか、三重県伊勢市にある(株)桜自然塾 の講習会にて対応しています。

協生農法マニュアルに関しては、記述された知識(手法)の階層が原理・規則・例示などに分かれてあります。例示は規則ではなく、必ずそうしなければならないというものではありません。また、規則も状況の変化によっては原理まで立ち上って変更・導出する必要があるものです。原理・規則・例示のどの階層の知識かを意識して、ご自身の圃場の環境ではどうすればよいかを考えながら読み進めてください。

当法人から公開される知識はオープンソースの原則に則っています。オープンソースで発展していく知識コミュニティーの例としては、ウィキペディアなどが有名です。オープンソースとして公開されるということは、それを活用する様々な人たちによって、より良いものへと改良されて行く過程を含んでいます。

その一例として、オープンソースの飛行機を考えてみましょう。

空気には特定の条件下で物体に揚力を発生させる物理法則があり、これ自体は普遍の原理です。一方で、この原理を使って空を飛ぶ乗り物を作る方法は、多種多様なデザインがあり得ます。

飛行機の設計図が公開されていて、それを実際に自分で作ってみた所、うまく飛ばなかった場合を考えてみましょう。これは、設計図自体に問題がある場合と、設計図に従ったはずの実装に問題がある場合の2通りがあり得ます。(そして、これらの失敗は根本にある物理法則自体が破綻しているわけではない事に注意してください。)

オープンソースでは、それら両方の可能性を考慮した上で、各人の成功例や失敗例を共有することを通じて、設計図自体の改良とともに、実際に飛行機を作り上げる上での様々な経験や知識を蓄積して行くことが理想です。

その根本にある原理は、「物理法則に従って空を飛ぶ乗り物を作る」ことであり、それがどのような形状や大きさになるかは、作る人たちの発想や目的によって千変万化するでしょう(材質は?動力は?離着陸の場所は?航続距離・速度は?気象状況は?乗員や積荷の大きさや重さは? etc)。

協生農法も、「生態学的最適における食糧生産」という根本的な原理を据えつつも、その実装法は多様に進化して行くべきものです。栽培法のみならず、農業を生業として行く社会実装のためには、設計図だけから飛行機を飛ばすのと同様に様々な工夫や発展プロセスが必要になります。その端緒となる叩き台としてマニュアルが公開されていることをご理解ください。





Q. 協生農法の科学的研究成果に関する講演会を依頼したいです。

A. 常時承っております。info@synecoculture.org までご依頼ください。



Q.国内外の自治体やNGOで協生農法を導入したいのですが。

A.協生農法はオープンソースですので、どなたでも無料で導入することができます。導入・実践にあたっては、各国語のマニュアルをダウンロードして活用していただく以外に、以下の方法で対応しています。

1.当社団による、 協生農法の科学的基盤や研究成果に関する講演会などの情報提供。info@synecoculture.org までご依頼ください。

2.(株)桜自然塾による、三重県伊勢市における協生農法講習会。(株)桜自然塾 に直接お問い合わせ願います。

協生農法を導入・実践するにあたりライセンス料などは徴収していませんが、「協生農法」および「Synecoculture」は商標登録を申請中であり、将来的にこれらの名称をつけて農作物を販売するには、商標管理者の許可が必要になります。詳しくはメールでお問い合わせください。

  

  

  

Q. 桜自然塾について/桜自然塾の商品について質問があります。

A. 桜自然塾について/桜自然塾の商品については、(株)桜自然塾 に直接お問い合わせ願います。




Q. YouTubeなどで見られるプレゼンテーションの図は個人で使用できますか?

A. 論文や書籍として出版されているものにつきましては出典を明記した上での引用はご自由にしてくださって構いません。ただしその際に論旨を変えて使用した場合は、学術的研究の規範に則り批判の対象となります。未出版のものにつきましては、(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所あるいは社団法人シネコカルチャーに著作権があり、使用不可です。出版されているものはこちらからご確認ください。




Q. 桜自然塾で〇〇と言われたのですが… 1,どう思いますか?   2,本当ですか? 3, 社団法人シネコカルチャーの言っていることと違いませんか? etc.

A. (株)桜自然塾さんがどういう文脈においてどういう狙いでその発言をされたのかがわかりませんので、当法人からはコメントできません。桜自然塾さんの発言については桜自然塾さんに直接お問い合わせください。





協生農法(マニュアル)に関して

Q.いきなり1-2反で実践して成功しますか?

A. これまで協生農法の実践経験がない場合は、家庭菜園程度の小規模で何が可能か探索しながら始めることをお勧めします。その場所で育つ作物がある程度わかってきても、環境や育つ作物種は生態遷移により常に変化して行きますので、変化をモニターするための小規模実験区画を継続することが長期的に有用です。



Q. 何をどう植えたらいいですか?

A. 「その人が何を作りたいかによって、何をどう植えたらいいかは変わる」という前提をまずおさえておきましょう。協生農法は決められた作物を植えればできるわけではなく、実践する人間と環境によってバラエティに富んだ選択肢がありえます。協生農法の原理に基づいてその土地・気候・その他の条件も加味して植生戦略を練る中で、具体的な戦略が出てきます。

実践する場所の条件の中で、何を作りたいか、どういう農園にしたいか、管理に割ける時間や使える資金はどれくらいか、などによって自ずととるべき戦略は絞られてきます。

また、協生農法を既に実践されている方々のコミュニティである「協生農法友の会」で情報を交換することも可能でしょう。

実際の農園の様子を見学するには、伊勢市にある(株)桜自然塾さんで開催している「協生農法講習会」まであたっていただけますと幸いです。



Q. 害虫などの問題で近隣の人から苦情が来たり迷惑がられたりしないのですか?

A. 現状、協生農法の実践によるそうした(生態学的な)問題は特に起きておりません。高度に拡張された生態系は、単一種の異常な大発生という現象を起きづらくさせます。ただし近隣が慣行農地の場合は、(実際に協生農法の土地が慣行農地に害を与えているかどうかは別として)心理的な抵抗感を与えてしまう可能性がありますのでご注意ください。



Q.自然農法やパーマカルチャーなどの環境保全型農業とは何が違うのですか?

A. 確かに、一見そうした農法はどれも似通っているように思えるでしょう。それらと比較した時に言える協生農法の明確な特徴は「超多様かつ超有用」を農園において目指すことです。従来の持続可能を目指した農業は農業自体の有用性を高めようとすると結局個々の産物の成長を優先し、生物多様性が低下するというトレードオフの状態を抜けきれていません。一方、協生農法はそれを根本的に乗り越えて、多様性を高めるほど有用性が高まるという方向へ農園生態系を構築します。その結果として生物多様性は、自然放置された状態よりも高まります。

一見シンプルなようですが、生物多様性と生産性の両立は海陸の大きな循環の中で生物多様性が果たしている役割を科学的に捉えない限り実現は困難で、限られた圃場の中で個人の経験を積み重ねてもなかなかたどり着けません。個人的な経験値の集積の上に成り立っている他の農法と、生態学と農学を横断する科学的な定式化がなされている協生農法の明らかな違いの一つです。



Q. 「協生農法は木を植えるという特徴のある自然農法の一種である」と言えるでしょうか?

A. 自然農法の定義にもよりますが、それが「自然の力」など経験に基づく表現をしている場合は、明確に異なります。協生農法は、農学での生産性向上の原理となる「生理最適」、生態学における生産性の原理である「生態最適」を区別しており、前者の植物単体ではなく後者の植物群集(community)全体の生産性に基づいています。そして、協生農法における管理法も、これらの生理最適・生態最適を逐一認識・区別しながら意思決定していくプロセスであり、自然農法の管理法と常に一致するわけではありません。多くの自然農法が経験的に唱える「自然」の生産性にはこれらの科学的に明確な区別がなく、しばしば混同されて伝わっています。そのため、協生農法とある種の自然農法のやり方が結果的に部分的に一致していることはありますが、一般的に自然農法に樹木を導入すれば協生農法になるわけではありません。逆に「草原状態を維持する」など別の目的がある場合は、協生農法であっても木を植えない場合もあり得ます。

協生農法の実践において、木を植える目的については、協生農法実践マニュアルの「植樹」の項を参照してください。


Q. 協生農法を実践している農園はどこで見学できますか?

A. 伊勢市にある(株)桜自然塾 さんで開催している「協生農法講習会」にご参加ください。



Q. 協生農法では遺伝子組み換え作物を使用しますか?

A. 協生農法では遺伝子組み換え作物を使用しません。その理由としては、遺伝子組み換え作物のもつ危険性だけではなく、植物資源としての遺伝的多様性が生物多様性の喪失や表土の水循環を取り戻すために必要十分でない点が挙げられます。詳しくは出版されている論文をご覧ください。