Synecocultureマニュアル
改訂版の序に代えて
2016年に公開された本マニュアル初版は、英語・フランス語・中国語へ翻訳され、多くの人々に利用されてきました。その間、より多様な気候帯や生態系での実践を促進するため、ソニーコンピュータサイエンス研究所では各種の支援技術を開発してきました。今回、その成果を踏まえ、本マニュアルの検索性を高め、支援技術と連動できるように改訂し、Web参照に対応した2025年版として公開します。
改訂にあたり、2016年版の表現を見直すとともに、その後にソニーコンピュータサイエンス研究所や一般社団法人シネコカルチャーで得られた研究成果 [Sony CSL] [一社シネコ] 、株式会社SynecOを通じた社会実装の知見 [SynecO] を反映しました。科学的検証と予測に裏打ちされた知識に焦点を絞り、世界標準となりつつある「Synecoculture」の表記に基づき、新たに「シネコカルチャー実践マニュアル」として編纂しています
本マニュアルに収めたのは、シネコカルチャーに関する諸現象のうち、科学的妥当性をもって説明可能な知見に限られています。これは関連する活動の発展を制限するものではなく、むしろここに含まれない新たな現象や発想が、今後の科学化を推進する原動力となるでしょう。
本マニュアルは、ユネスコが主導する大学連携プログラムである複雑系デジタルキャンパスの研究教育マテリアルとして、CCBYND ライセンスで公開されています [elab] 。単体で通読することもできますが、別途提供する支援ツールを通じて参照することで、現場に即した実践の助けとなるよう構成されています。
地球環境の容量が限界に近づく21世紀半ばに向けて、本マニュアルが皆さまの生活と周囲の環境・生態系をつなげ、社会経済や文明を問い直すきっかけとなれば幸いです。
2025年9月 イタリア・フィレンツェにて
ソニーコンピュータサイエンス研究所
シニアリサーチャー 舩橋真俊