Synecocultureマニュアル
最後に
これまでの農業は、植物一つ一つを不自然に肥大させ、自然状態の植物の本質からはほど遠い「養殖野菜」を作ることに腐心して科学技術を用いて来たように思います。それは、今日成人病やメタボリック症候群で苦しむ我々の姿と、どこか共通していないでしょうか。
また、地球上の生物多様性が危機的な速度で減少する中にあって、我々人類だけが驚異的人口増加を遂げていることは、正に生態系における害虫の大量発生と似た趣を感じさせます。
シネコカルチャーでは、人類が百万年以上に渡って摂取し、代謝を支えて来た自然状態の動植物を、我々の食の中心に取り戻そうとしています。また、地球上の生物種を代表するリーダーとして、人類が真に環境調和型の持続可能社会を築けるかも、農業を始めとする生態系と直接関わる一次産業の正否にかかっていると言っても過言ではありません。
これまでに農薬や肥料の開発に注がれて来た努力を、自然状態での動植物の関係性の活用という方面に少しでも傾注することが出来るなら、その目標を大きく前進させることができるでしょう。
そのためには、既存の細分化された学問分野では不十分です。一般の方々の実践、経験から得られる知識を結集し、市民の科学として自然とのつきあい方を考えていかなくてはなりません。シネコカルチャーはその一翼を担うことを目指しています。